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シャムセールカンリその4

Sun, 05 Oct 2014 14:49:33 +0900
午前2時。テントはぱたぱたとやさしく風にはためく。
そして間もなくストーブに火がともる。登頂日。 シャムセールカンリ Chamser Kangri コーンスープを飲んで体調確認。おいしい。オートミール、インスタント麺を食べる。一度ベースキャンプを出たら、夕方に帰ってくるまでは、食料はあまり口にしないだろう。 シャムセールカンリ Chamser Kangri シャムセールカンリ Chamser Kangri ウェアを一枚一枚淡々と着て、そして靴を履き、準備を進める。不思議なのは、いたって落ち着いているということ。今から入ってゆくルートは全く情報がないバリエーションルートで、どれほど危険かどれほど困難か、今はわからない。未知の場所に入ってゆくとき、僕はいつも恐怖を感じる。 シャムセールカンリ Chamser Kangri けれど今日は違う。とてもわくわくしている。モレーンの向こうに長大な未踏の氷河があり、その向こうに頂きがあるはずなのだ。できる範囲の準備はしてきたつもりだし、条件も体調もベストと断言できる。今回、山頂には限界までこだわる。そして、もし超えられない困難が与えられたときは、それをただ真摯に受け止める。 シャムセールカンリ Chamser Kangri 冷静に、テントを後にする。朝の散歩に出かけてくる。そんな気持ちだ。

浮石で最悪にガレガレのモレーンを乗り越え、氷河の舌端を左に見ながらリッジをトラバースする。30分ほどハイクアップしたポイントから、氷河へ下降する。 シャムセールカンリ Chamser Kangri すごい。迫力の氷河だ。

足もとの雪と氷が長い時間をかけてゆっくりと流れていると思うと胸が熱くなる。 シャムセールカンリ Chamser Kangri いただきもののパワーバーをひとかじりする。そして背後からのご来光。 シャムセールカンリ Chamser Kangri 氷河の何と歩きにくいことだろう。溶けて凍ってを繰り返して、針状に突き出ている。ある部分はブルーアイスになり、他の部分は水が流れ、腐った雪もあり、一歩一歩時間がかかる。うーん・・、微妙に凶悪な氷河。 シャムセールカンリ Chamser Kangri 標高6000m。なんとか氷河を登りきり、遠くに小さく山頂が見えた。やっと確認できた山頂。朝日を受けて光ってる!