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ルンサールカンリ遠征・敗退編

Thu, 25 Oct 2012 16:05:17 0900
インドヒマラヤ・東ラダック最高峰、ルンサールカンリ(頂上標高6666m)へ。

登山活動の結果から先に言ってしまうと、キャンプ1にも到達できないという、標高5850m地点での完全敗退でした。非常に残念です。

原因は、ベースキャンプ入りまでに行った高所順応が1日か2日不足していたからだと思います。今回設置したルンサールカンリのベースキャンプは、チャムセールカンリの東にある三角形のプラトー。標高は5660m。下部ベースキャンプ(Skyurchu:スキュルチュー)は標高4600mなので、ベース入りの日の登高は標高差1000m以上もあり、身体への大きな負担となってしまったのだろう。

ベースキャンプの標高、5660mとはどんなものなのか---。

「場合によっては高所衰退が起きる」

僕にはこれが起きてしまった。



suda studio



時系列でさっくりと様子を。

1日目。
レーから下部ベースキャンプへ。標高3500mのレーから、車で走ること7時間。ツォ・モリリという湖の湖畔にキャンプ。標高が4500m。翌日のベースキャンプ入りを控えておとなしく就寝。

2日目。
ベースキャンプ入りの日。あいかわらずの快晴だ。
朝、キャンプを撤収し、ゆっくり歩き出す。

5時間かけて上部のプラトーへ到着。 体調がいまひとつだ。脳が腫れたような熱っぽい不快な感覚になり、息切れがひどい。
翌日になったら順応するだろうとこのときは思っていた。食欲と脈拍は比較的良好。

3日目。ベース入り2日目。
ものすごい不快感とともに目が覚め、軽い頭痛はするし食欲はないし、すぐに「あ、これはまずいな・・」と思った。
幸い、この日は全日レスト。翌日の快復を期待してなんとなくやり過ごす。

4日目。
頭の腫れはおさまってきたものの、消化能力が低下しているのか、下痢に。おまけに少し歩くだけで息切れがする。
衰退しているな、と思った。一応、5800mまで2時間ほど体を動かした。

5日目。
C1入りの日。朝から勝算皆無(泣)。
10kgほどのザックを持ち上げただけで息切れが・・・。

---これは無理か~~・・!
心の声が聞こえる(笑)

でも、心配そうなシェルパとコックをキッチンテントに残し、出発。

・・・。無理だよね~、このコンディションじゃ。雪降ってくるわ体は鉛みたいに重いわ、おまけに下痢だし。
C1が遥か彼方に思える。6000m近い標高だと、すぐそこが本当に遠く思える。そう、笑えるくらいに。

「ハアハア・・、あ、あの岩まで行ったら一息つこう・・。」

その岩っていうのは、なんとたったの15m先に(笑)。そして、この繰り返し。

C1が、C1が遥か彼方に~、遠ざかってゆくぅ~。そして果てには山頂がーー・・・・。


無理。

今回は無理。敗退。
おめおめとベースへ帰還。
テントに着くやいなやシュラフに倒れこむ。

6日目。
下山開始。
標高が下がるって幸せだなぁ。と、あれだけ高所を目指してたのに。
お昼過ぎに下部ベースへ到着。体調がみるみる改善。

7日目。
下山完了。昼前に帰りの車がやってきて、キャンプ撤収。

8日目。
復路。よくわけの分からない場所でキャンプ。

9日目。
レーに帰着。

とまあこんな感じでした。



suda studio



写真を少し。

ルンサールカンリ遠征

ツォ・モリリへの途中、薄く雪化粧した山が見え始めテンション上がる。

湖へ到着。不毛だし、人っこ一人いないし、標高4500mだし、この世の果てに来てしまったのか。

ルンサールカンリ遠征 ルンサールカンリ遠征


シェルパとコックが下部ベースキャンプを設置中・・。

ルンサールカンリ遠征

ルンサールカンリ遠征 夕方になり、荷揚げのためのロバ到着。ロバのテンション低め。


2日目、ベースキャンプ設置予定のプラトーへのハイクアップ。ミクモ・シェルパとロバ(写真右)

ルンサールカンリ遠征 ルンサールカンリ遠征

ルンサールカンリ遠征 標高5660mのベースキャンプ


ベースキャンプに雪が降りました。

ルンサールカンリ遠征 ルンサールカンリ遠征


C1入予定日。敗退を決めて時計を見たところ。

ルンサールカンリ遠征

ルンサールカンリ遠征  ルンサールカンリ遠征

横たわるエクスペディションパック70L。この隣に僕が同じく横たわってました。
敗退。敗退だよ~!

だけど、夏のいい思い出ができました。
これから1週間かけて日本に帰ります。

さらば、ラダック。