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北岳バットレス アプローチ編

Thu, 17 Jul 2014 08:49:33 +0900

標高3193mの北岳を南アルプスの盟主たらしめているのは、富士山に次ぐその標高だけではなく、東壁のありさまもあるだろう。

日本のアルパインルートの代表格である北岳バットレス第四尾根。大樺沢から北岳山頂へ一直線に突き上げる岩稜のリッジこそ、この岩壁がバットレスと名付けられた所以であり、見事そのもの。岩、雪、緑と、それ以上純粋になりえない3色がおりなす大絶景。まさに威風堂々。

7/12、14:00。広河原のバス停から幕営地の白根御池小屋を目指す。時折、樹林から除く北岳のスカイラインこそ、明日予定している第四尾根だ。

北岳バットレス

テント場にツェルトを張って、TJと餃子を2袋食い、早々とシュラフに潜り込んだ。酒の力を借りずに19時から熟睡できるのは人間の不思議だ。

北岳バットレス

翌13日、アタック日。2:00に起床し、30分ほどで出発の準備を済ませて二俣に向かい始める。二俣からは雪渓。

北岳バットレス

ヘッドランプが大樺沢の大規模な雪渓を青白く照らす。B沢の出合いは大岩が目印と事前情報を得ていたため、左岸に気を配りながら残雪をハイクアップする。右手に大岩。GPSでの位置情報とも照らし合わせ、ここに間違いない、という地点まで来た。B沢とC沢を分ける中間尾根の末端だ。

北岳バットレス

アイゼンを外し、「X」のペンキから尾根上の明瞭な踏み跡を30分ほどトレースする。B沢をツメるのも可能なのではと勘ぐっていたが、上部からの落石の危険性とその斜度を考えると得策ではなさそうだった。

北岳バットレス

尾根上部を少し右に(B沢右岸付近へ)それるとB沢の最上部であり、Bガリー大滝が目の前に現れる。念のため携行していた縦走用ピッケルはここで重宝した。大滝に取付くためには、30度くらいのやや急な雪渓を登り、岩壁との間に開いたシュルンドを乗り越えなければならない。Bガリー大滝1ピッチ目はアプローチシューズのまま確保なしで突破した。1P目終了点のテラスにてTJとロープを結び合う。

北岳バットレス

雪渓上端からのスラブがBガリー大滝で、奥のリッジが第四尾根。
登攀編へつづく