木質系ストーブのこと
Wed, 08 May 2013 19:58:07 0900山でお湯が欲しいときは、テルモス(魔法瓶)に詰めてかつぎ上げるか、もしくは山で沸かすことになる。ガスストーブで山ではじめてゴォォとやったときの楽しさは今でも忘れない。氷点下20℃を下回る厳冬期の稜線で、胃に熱い甘い紅茶を流し込んだ時の安堵感といったら。山で火があるっていうのは楽しくて、どこか頼もしい感じがする。
ガス式のストーブは軽量かつ簡便で、間違いなく今現在主流。そして、場合によってはより軽量なアルコールストーブ、ガスの入手が難しい遠隔地ではガソリン式というように、非ガス勢もしぶとい。そこで今いろいろな意味で熱いのが、原点回帰とも言える木質系ストーブ。
世界の多くのバックパッカーに名を轟かせている、ブッシュバディ・クックストーブ。カナダのフリッツ=ハンデル氏(Mr. Fritz Handel)が手製で製造している調理用ストーブだ。手仕事は精巧で美しく、その軽量さと燃焼効率はぶっちぎりで他のウッドストーブと差をつけている。
(写真:残雪期の南アルプス・北岳稜線にて)
オンラインで注文して数週間後、面取りされていないラフな木箱に入ってポストに届いた。裏面には「BB ULTRA .004」と手書きの商品名が。
使い方は極めて単純。燃焼炉の中で焚き火をすればよい。焚き火が上手い人にとっては、練習無しぶっつけ本番で使いこなせるはずだ。裸火の焚き火と違って、二次燃焼による高効率と煙の少なさには感動すら覚える。さらに完全に断熱された底面は、地面にインパクトをほとんど与えない。灰もほとんど飛び散らない。
火種に焚き付けの小枝を投入し、1分ほどして燃焼炉が温まったら太めの枝を必要なだけくべていく。
木と雪があるシチュエーションで、飲水には困らないというのはなんとも安心感がある。3泊以上の長旅の場合はブッシュバディが有利となるはず。
ガス式にはないメリットがある反面、着火道具が必要、鍋が汚れる、テント内では使用不可などデメリットもある。ただ、実際に必要な副装備を含めてもガス式と収納容積はさほど差がない。
自作キットの内容物は次の通り。
ストーブ本体、スタッフザック、ビニール袋(使用後の鍋を収納する)、鍋つかみ、火種、スポンジ、金だわし、メタルマッチ、ライター、ジップロックコンテナ、ペーパータオル
小枝を燃料にして沸かしたお湯でいれたコーヒーはさらにおいしい。理由はよく分からない。なんとなく懐かしいなごやかさもある。
2013年9月、奥多摩御前山にて
関連リンク:bushbuddy.ca